Case Study 事例

2023.03.08事例

【販路開拓支援】“おしゃれデリバリー”専用バイクによるシニア顧客の積極的開拓

1981年に開業、その後1990年に法人化した理美容業を行う相模原市南区の企業である。「ブランドヘアーアサカワ」「美容室スリーエース」の2店舗を運営している。当店は、美容業専業ではなく理容業も手掛けるユニセックスサロンであり、顧客の男女比がほぼ1:1である。美容業ではできないレディースシェービングも提供している。高い技術力とリラックスできる接客サービス、施設が評価され、安定した顧客基盤を獲得している。

相談のきっかけ

コロナ感染症蔓延までは安定した顧客基盤に支えられ順調であったが、緊急事態宣言が発令されて以降、売上が大幅に減少した。3密(密閉、密集、密接)のイメージがある理美容室は、不要不急の外出対象とされ、来店を先延ばしにする傾向が顕著に出た。緊急事態宣言解除後も、理美容室への来店自粛、来店頻度の低下傾向は続いている。これまでの待ちの姿勢のままでは立ち行かなくなると不安を感じていたときに、金融機関から紹介を受けた。

当店の技術を顧客の望むスタイルに合わせて提供する。

理美容を受けられない状況にある人にも理美容サービスを届けたいとの思いから、無料送迎サービス、訪問理美容サービスも2011年にスタートしている。ただし、ホームページに掲載しているものの当社としても力を入れておらず、送迎サービス、訪問サービスの顧客は月2~3件に留まっている。訪問サービス、送迎サービスのニーズは、コロナ禍で確実に高まっている。外出が難しくなってきた顧客を訪問、送迎サービスで取り込むことが課題である。また、安定した顧客基盤は持っているものの、最寄り駅から遠く新規顧客開拓も課題である。また、顧客の抱える美容の悩みに相談に乗っていることからヘアケア商品の販売も多い。当店は付帯サービスの比率も高く客単価は高めであるが、ヘアケア商品の販売拡大余地はある。 外出をためらう顧客に「おしゃれ」のフルサービスを届ける

高い技術とリラックスできるサービスを自宅で受けられる“おしゃれデリバリー”サービスに取り組み、地域の在宅シニア層に来店と同じレベルの「美しさ」を安心な安全な環境で提供するサービスを開始。訪問理美容専業の競合もあるが「低価格で清潔に」というサービスのみであり、一人一人にフィットしたデザイン、カラーリングまで提供するフルサービスの事業者はない。「おしゃれデリバリー」は、来店頻度を下げざるえないお客様を対象に、当店の提供するヘアケア商品の宅配と、来店できずフルサービスを望む顧客には店舗と同レベルのサービスを提供する在宅理美容サービスを組み合わせるものである。このビジネスモデルの実現のため、小規模事業者持続化補助金を活用し専用宅配バイクの導入、コロナウイルスへの感染リスクを減らす理美容セットの準備、新サービスを訴求するためのホームページリニューアル、地域での認知向上のためのチラシ制作、配布に取り組んだ。

支援のポイントと気をつけたこと

①サービス専用バイク導入:“おしゃれデリバリー”キットを後部ワゴン内に収納する。バイクには“おしゃれデリバリー”サービスのアイキャッチになる装飾を施す。

②おしゃれデリバリー専用器材:デリバリー専用移動式シャンプー台など、在宅で店舗と同等なサービスを提供するための器材を準備する。

③ホームページ制作:“おしゃれデリバリー”サービス導入にあたり、店舗と同レベルのサービスである、高齢の方に安心なサービスであることを訴求する。店舗と独立した新サービス専用ホームページを準備、

サービス専用バイクで、コロナ禍の落ち込みをカバー

コロナ禍が続いており来店客数の減少は続いているが、“おしゃれデリバリー”新サービスにより売上高はコロナ前を維持できている。現在、売上高の10%以上を占めるまでになっている。顧客範囲も、従来の近隣客(相模原市南区大野中地区)中心から、横浜市港北区、川崎市麻生区といった高級住宅地エリアへと拡大した。また、来店客の有無に依らず店舗は営業を続ける必要があったが、新サービスでは訪問時間を調整して効率的に設定できるため、生産性も向上した。今回導入したサービスをさらに拡大していく予定である。

相談者様の声

当店の状況を十分に理解していただいた上でのアドバイスが、新サービスの立ち上げにつながりました。そのおかげで、コロナ禍にあっても前向きに経営できています。日々の店舗運営の悩みから事業の方向性まで、“神奈川よろず”に何でも相談させていただいています。

支援先企業名 有限会社スリーエース(Brand Hair ASAKAWA)