Case Study 事例
【販路開拓支援】コロナ禍での新しい販売ルート開拓による新規顧客獲得と売上向上
2008年に創業し、北海道産小麦粉を100%使用、天然酵母で発酵する、安心・安全な無添加パンを地域顧客に提供してきた。厳選食材のミネラル分豊富な分蜜糖、沖縄天然塩、トランスファットフリーバターや太白ごま油を使用し、食パンを中心に安心でやさしい風味の25~30種のパンを揃えている。近年は、海老名市や藤沢市の近隣農家と連携して新鮮野菜も取り揃え、パンと一緒に買える利便性で好評を得ている。
相談のきっかけ
令和2年からの新型コロナウイルスの影響で既存顧客の外出自粛傾向が進み、店舗への来店客数が大幅に減少し売上が半減してしまった。また、賞味期限が短いパンは、当日売れ残るとほぼ廃棄となって、利益率も大きく低下した。一方で市場ではパンを冷凍してまとめて発送するインターネット販売の需要も増加しており、相談者はこの機に楽天ショップと契約したものの1件も売れず、どうすればよいか教えてほしいと当拠点に相談するに至った。 店舗に来店する地域住民以外の新たな顧客獲得が課題
まず既存ECサイトの状態について検証した。多くのパン商材が存在する中で、当店特徴が訴求されておらず、商品内容や対象写真がわかりにくく、単品の選択でネット購入しにくい状況だった。次に当店の商品特性を分析した。当店の強みや優位性として、素材のこだわり、天然酵母を活かした独自の配合レシピや、製造方法などの強みがあることを確認できた。しかしこれまで既に味を理解している常連客をターゲットとしており、新規顧客に向けて商品価値を明確に表現することができていなかった。そこで、「新規顧客にも伝達できるよう商品特性を明文化し、ECサイト特性に適した商品提案で売上拡大させること」を課題として設定した。
新規顧客への価値の訴求とEC販売に適した新商品開発を支援
まずは、ECサイトで当店魅力と商品優位性をわかりやすく伝えられるよう、強みを明確にして文字化することを支援した。相談者にとって当たり前のことも、お客様には大きな魅力であり、これまでの顧客の生の声を検証しながら、特性を1つ1つ吟味し、視覚的に伝えるための写真とサイト構成の改良を助言した。送料負担等を感じにくい新商品の投入を提案し、3000円程度の詰め合わせ商品を開発した。生産効率を高めるための生産体制整備も助言し、設備導入の資金確保のための補助事業活用の申請から実施まで支援した。商圏拡大に向けた地域情報誌への広告掲載、自社ECサイトとSNSの連動による販促強化を助言した。
支援のポイントと気を付けたこと
相談者は1人で運営していて販促対策等に不慣れな事も多く、わからないことはそのままにせず相談で解決するよう促して信頼関係を構築した。新商品は店舗提供する場合と形状が異なるため、おいしく食べるための保存方法、解凍方法などの食べ方提案などのサービスも充実させて顧客満足度を高めるよう助言した。新規・既存顧客共に利用頻度を高めることを意識し、個々の顧客との関係性の強化に努めるよう促した。
新規顧客の獲得により売上30%増を実現
自店の商品の魅力を潜在顧客にわかりやすく伝達する体制を整え、外部ECサイトでは北海道から九州まで全国にリピーターを獲得でき、30件/月の注文を得られるようになった。認知度を向上させ、その他にも外部カタログ掲載やイベント販売などの新規販売ルートも構築できた。地域情報誌の掲載とSNSの連動などの情報周知活動の成果が発揮できており、前年比30%以上の売上増加を達成できている。 相談者様の声
コロナ禍で先行きが見えず不安な中、親身に相談にのってもらい、問題を一緒に解決していってもらえ、とても安心できました。自社の強みがどんなものかを客観的に分析することができ、経営改善への取組みの考え方や優先順位を明らかにできました。今後も引き続き支援をお願いしたいです。