Case Study 事例

2023.03.08事例

【経営改善支援】職場改善、部門リーダーの育成により人材不足を解消し成長軌道に

2000年4月の介護保険開始とともに、あうん介護センターを開設し、居宅介護支援、訪問介護、デイサービス、訪問看護等各種介護サービスを提供し、地域有数の介護事業者として活動している。介護サービス以外にも「地域カフェ こんふぉーる」を立ち上げ、地域住民との触れ合いを重視しながら生活を支え、地域に貢献している。

相談のきっかけ

従来安定的な経営をしていた同社であったが、訪問介護事業において、介護従事者の退職、採用難により大幅な売上減少となり、平成30年4月期に経常赤字になることが確実となった。運転資金の調達が必要であったことからメインバンクである地域信用金庫に相談したところ、今後の黒字化の計画を検討し、事業計画にまとめることを勧められ、その支援として党拠点を紹介され、相談に至った。

各事業の稼働率の向上と職場改善による人材の定着が課題

各事業の内容と損益を分析した。訪問介護事業においては、派遣依頼はあるものの人材不足により対応できない状況が発生している。介護職の慢性的な人手不足から新規採用もままならず、退職者がでると厳しい経営環境に陥ってしまう状況にあった。引き続き採用活動を継続するとともに、処遇の改善と働きやすい環境を作り、職員の定着を図ることが課題であった。 居宅介護支援事業も売上の大きな減少に至っていないものの、職員の人材不足は顕著であり、人材採用が実現すれば売上増につながる見込みは立っている。居宅介護支援は、人材の質が重要であることから、当社が目指す(求める)人材像の明確化と時間をかけて人材の選別を行いながら採用する方針を立てた。 デイサービスは稼働率の向上が課題であり、機能訓練加算の適用と「こんふぉーる」の活用見直しにより受け入れ定員の増加による売上増を目指す方針とした。 その他、役員報酬の減額を順次行い費用の削減に務める。 以上を各事業で5年間の売上目標数値を立て、そのためのアクションプランを上記趣旨にのっとり検討したものを事業計画として取りまとめた。

定期的な事業計画の進捗管理と各事業の組織化による改善

事業計画に基づいて活動した進捗状況を半年程度で確認し、新たな課題設定とアクションプランの修正を行っていった。相談者は、職場環境の改善のために、まずは職員とのコミュニケーションの強化から始めた。従来は報告とそれに伴う指示は行っていたものの、職員との心を通じたコミュニケーションが不足していたことを認識。日ごろの声掛け、良い部分をほめるなどのコミュニケーションを実行した。現場以前のリーダーを副所長に昇格させ、各事業のリーダーに対して、定期的なリーダー会議とリーダーによる売上と利益(経費コントロール)の管理を行わせるなどした。必要に応じた社外研修の受講、IT導入による業務効率化による職員の業務負荷の軽減に努めるなどを推進した。

支援のポイントと気をつけたこと

相談者と当初面談した際に、優しい人柄とともに自身で抱え込む傾向が見て取れたため、自ら積極的にかかわりつつも社員にまかせる、やらせる、フォローするマネジメントを提案していった。また、事業計画の進捗においても必ずしも順調でない時期もあったが、時間をかけて改善する相談者のスタイルを尊重してサポートしていった。

組織の活性化と従業員後継者の育成、売上も15%UPし、黒字化が実現見込み

これらの取り組みにより、各事業でのリーダーの責任感の醸成が進み、社員自ら活動する組織に変わっていった。それにより組織の風通しがよくなり、職場環境も改善されていった。新しく入社した社員も早期の戦力化と離職率の低下につながった。これにより、売上も平成30年度比で約15%向上し、営業黒字、経常黒字を実現する見込みである。また、未定であった相談者の後継者に経営に興味を持つ部門リーダーの一人を候補とし、副所長への抜擢、社外での経営面でのセミナーへの参加、経営会議への参加を通じた後継者教育を始めるに至った。 相談者様の声

よろず支援拠点の担当者が定期的にフォローしてくれたおかげで計画から軌道修正しながら進めることができた。今まで未定であった後継者もメドが立ち、後継者候補とともに地域一番店を目指して進めていきます。

支援先企業名 株式会社あうん